2011年12月22日 (木)

23年分 年末調整の昨年との変更点

年末調整を行う時期となりました。

今年、23年分の年末調整を行うにあたって昨年、22年分との変更点は次のとおりです。

1.扶養控除の見直し
①16歳未満の扶養親族に対する扶養控除が廃止されました。
 22年分までは、扶養親族の要件(給与所得者と生計を一にする合計所得金額が38万円以下の配偶者以外の親族等)に該当する人がいる場合には、その扶養親族の年齢に関わらず扶養控除を受けることができましたが、23年分から、年齢16歳未満の扶養親族に対する扶養控除が廃止され、扶養控除の対象は、年齢16歳以上の扶養親族(「控除対象扶養親族」という)とされます。
②16歳以上19歳未満の扶養親族に対する扶養控除が63万円から38万円に減額されました。
 22年分までは、年齢16歳以上23歳未満の扶養親族は、特定扶養親族として、控除額は63万円とされていましたが、23年分から、特定扶養親族の範囲は年齢19歳以上23歳未満の控除対象扶養親族とされ控除額は63万円、年齢16歳以上19歳未満の扶養親族に対する扶養控除額は38万円とされます。
2.同居特別障害者の制度改正
年齢16歳未満の扶養親族の扶養控除が廃止されたことに伴い、同居特別障害者である扶養親族等について制度改正が行われました。
22年分までは、扶養親族や控除対象配偶者が同居特別障害者に該当する場合には、扶養控除や配偶者控除の額に35万円を加算することとされていましたが、23年分から扶養控除や配偶者控除の額に加算するのではなく、同居特別障害者に対する障害者控除の額を1人につき75万円(特別障害者である場合の障害者控除の額40万円に35万円を加算した額)とされます。

2011年10月 2日 (日)

最高裁、改正税法の遡及適用は合憲

土地等に係る譲渡損失を他の所得と損益通算を廃止するという2004年度税制改正は同年4月1日から施行され、同年1月1日以後の譲渡からと遡及適用されました。最高裁は9月22日、土地等に係る損益通算の廃止が施行日前の土地取引にも遡及適用できるか否かが争われた事件の上告審で、原審通り納税者の主張を退け、遡及適用は憲法84条(租税法律主義)に違反せず合憲との判断を示しました。

この事件は、納税者が、改正法が施行された2004年4月1日前の同年1月30日に土地の譲渡を行ったため同年分の長期譲渡所得の金額の計算上損失が生じることから、その譲渡損失を他の所得と損益通算すると還付税金が生じるため更正の請求をしましたが、税務署は、損益通算を認めず、更正の請求をすべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、税務署の通知処分は違法であるとしてその取消しを求めたというものです。納税者は、改正法の施行日より前にされた土地等の譲渡についても損益通算を認めないこととしたのは納税者に不利益な遡及立法であって、憲法84条に違反すると主張、この訴えに対して、原審の東京高裁(2008年12月4日)は、改正法の遡及適用は憲法84条に違反せず、税務署の通知処分も適法として請求を斥けたため納税者が上告していたました。

最高裁は、「暦年当初からの適用を定めた本件改正附則が憲法84条の趣旨に反するか否かについては…諸般の事情を総合的に勘案した上で…適用による課税関係における法的安定性への影響が納税者の租税法規上の地位に対する合理的な制約として容認されるかどうかという観点から判断するのが相当」とした上で、諸般の事情については、駆け込み売却を防止する目的があり「具体的な公益上の要請に基づくものであった」と指摘しました。納税者の地位の合理的な制約については、「政策的、技術的な判断を踏まえた裁量的判断に基づき設けられた性格を有する」から「合理的な制約として容認されるべきもの」と判断しました。また、「遡及適用期間も3ヵ月間に限られており、納税者においては、これによって損益通算による租税負担の軽減に係る期待に沿った結果を得られなくなるものの、それ以上に納税義務を加重されるなどの不利益を受けるものではない」としました。

最高裁判決 全文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110922144731.pdf

2011年9月 1日 (木)

減価償却資産として計上しなければならないもの、全額損金算入できるもの

①減価償却資産として資産に計上しなければならないものは、使用可能期間が1年以上で、かつ、取得価額が10万円以上の資産です。

使用可能期間が1年未満の資産又は取得価額が10万円未満の資産は、事業の用に供した日の属する事業年度において損金経理(法人がその確定した決算において費用又は損失として経理すること)により、損金の額に算入することができます。

②この取得価額が10万円未満であるかどうか

通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定します。

例えば、

事務用デスクとチェアーで1セットで98,000円のものを合計10セット購入しますと、取得価額の合計は98万円になりますが、1セット当たりの取得価額が98,000円ですので、10万円未満となり、事業の用に供した日の属する事業年度において損金経理をすることにより、全額損金の額に算入することができます。

応接セットで1組32万円のものはテーブル、ソファーをそれぞれ区別して10万円未満かどうかの判定をすることができません。1そろいで10万円以上ですから減価償却資産に計上することとなります。カーテン、じゅうたんなどは、1個単位でなく、1室単位で判定することとなります。

この「通常1単位として取引されるその単位」の考え方は、一括償却資産に該当するかどうかについての20万円未満の判定、中小企業者等の少額減価償却資産に該当するかどうかについての30万円未満」の判定においても同様です。

2011年5月 7日 (土)

借地権と底地を交換したとき

 固定資産である土地や建物を同じ種類の資産と交換したときは、譲渡がなかったものとする特例があり、これを固定資産の交換の特例といいます。
 この特例の要件の一つに、交換する資産は互いに同じ種類の固定資産でなければならないとする要件があります。
 同じ種類の固定資産の交換とは、例えば、土地と土地、建物と建物の交換のことです。
 この場合、借地権は土地の種類に含まれます。
 したがって、地主が建物の敷地として貸している土地、いわゆる底地の一部とその土地を借りている人の借地権の一部との交換も、土地と土地との交換になり、その他の要件にも当てはまれば、固定資産の交換の特例を受けることができます。

【事例】時価1億円、面積800㎡、借地権割合60%地域の土地について、地主と借地人が等価交換を行い交換後の土地をお互いに更地とする場合

3505

(国税庁 タックスアンサー No.3505 借地権と底地を交換したとき)

※ 6000万円 × A㎡ / 800㎡ = 4000万円 × ( 800㎡ - A ) / 800㎡

    ∴A=320㎡

2011年4月14日 (木)

不動産管理会社を活用する

アパートやマンション、テナントの賃貸経営をしていて税負担が大きいときの対処方法として、不動産管理会社を活用する方法があります。

所得税は累進税率ですから、会社を活用することにより、所得が多く税率の高い人から所得が少なく税率が低い人へ、その所得を移転すれば、その合計した税負担は小さくなります。

オーナーの所得税・住民税・事業税の減少額が、管理会社の維持費用(税理士への業務委託費用、社会保険料など)、法人税・法人住民税(均等割の負担がある。)・法人事業税、その配偶者などの所得税・住民税の増加額(会社を設立した場合の登録免許税等の設立費用も加算します。)などのコストを上回れば有効な活用方法と言えそうです。

オーナーに相続が発生した場合の相続税の納税資金の準備にも活用できそうです。

(1) 管理を委託する方法
賃貸の管理をその会社に委託します。会社には管理料収入を得ることとなるので、オーナー自身、その配偶者などがその会社に雇用され、賃貸管理の業務に従事することにより、会社は給料を払います。この結果、オーナーの収入は適用される税率の低い配偶者などに分散されることとなり、所得税・住民税・事業税を軽減することができます。(会社から給与の支払いを受けることとなり、給与所得控除が適用されます)。

この場合の管理料収入は、賃貸全体の収入の8%程度までが税務上認められるとされています。

(2)
一括賃貸(又貸し)する方法
建物をその会社に賃貸します。その会社は転貸しにより賃貸収入を得ることなり、オーナーに賃借料を支払います。その会社が家賃保証により空室のリスクを負うこととした場合は、管理料収入が高くなります。オーナー自身、その配偶者などがその会社に雇用され、賃貸管理の業務に従事することにより、会社は給料を払います。この結果、オーナーの収入は適用される税率の低い配偶者などに分散されることとなり、所得税・住民税・事業税を軽減することができます。(会社から給与の支払いを受けることとなり、給与所得控除が適用されます)。
この場合、管理料収入(転貸しによる賃貸収入 ― オーナーへ支払う賃借料)は、賃貸収入の15%程度までが税務上認められるとされています。

(3)会社が不動産を保有する方法
土地はオーナーの所有そのままで※、建物を会社の所有とし、会社はオーナーに地代を支払います。オーナー自身、その配偶者などがその会社に雇用され、賃貸管理の業務に従事することにより、会社は給料を払います。この結果、オーナーの収入は適用される税率の低い配偶者などに分散されることとなり、所得税・住民税・事業税を軽減することができます。(会社から給与の支払いを受けることとなり、給与所得控除が適用されます)。

多くの所得を法人に移転できますが、建物の会社への移転に伴う登録免許税、不動産取得税などのコスト、譲渡所得税などの負担、会社が建物の取得資金を借入れによりまかなう場合の金利負担などを検討する必要があります。
これらのコスト負担を考えれば、収益性の高い物件のみを会社へ移すのがよいでしょう。

※なお、古くから所有し含み益を抱えている土地については、会社への移転時に多額 の譲渡所得税が課せられ、オーナーにとっては大きな資金負担となることがあります。

また、土地をオーナーの個人所有、建物を会社所有とする場合には、借地権について権利金の認定課税の問題が生じるため、税務署に対して「土地の無償返還に関する届出書」を提出しておかなければなりません。