« 不動産所得の計算上生じた損失の損益通算 | メイン | 借地権と底地を交換したとき »

2011年4月14日 (木)

不動産管理会社を活用する

アパートやマンション、テナントの賃貸経営をしていて税負担が大きいときの対処方法として、不動産管理会社を活用する方法があります。

所得税は累進税率ですから、会社を活用することにより、所得が多く税率の高い人から所得が少なく税率が低い人へ、その所得を移転すれば、その合計した税負担は小さくなります。

オーナーの所得税・住民税・事業税の減少額が、管理会社の維持費用(税理士への業務委託費用、社会保険料など)、法人税・法人住民税(均等割の負担がある。)・法人事業税、その配偶者などの所得税・住民税の増加額(会社を設立した場合の登録免許税等の設立費用も加算します。)などのコストを上回れば有効な活用方法と言えそうです。

オーナーに相続が発生した場合の相続税の納税資金の準備にも活用できそうです。

(1) 管理を委託する方法
賃貸の管理をその会社に委託します。会社には管理料収入を得ることとなるので、オーナー自身、その配偶者などがその会社に雇用され、賃貸管理の業務に従事することにより、会社は給料を払います。この結果、オーナーの収入は適用される税率の低い配偶者などに分散されることとなり、所得税・住民税・事業税を軽減することができます。(会社から給与の支払いを受けることとなり、給与所得控除が適用されます)。

この場合の管理料収入は、賃貸全体の収入の8%程度までが税務上認められるとされています。

(2)
一括賃貸(又貸し)する方法
建物をその会社に賃貸します。その会社は転貸しにより賃貸収入を得ることなり、オーナーに賃借料を支払います。その会社が家賃保証により空室のリスクを負うこととした場合は、管理料収入が高くなります。オーナー自身、その配偶者などがその会社に雇用され、賃貸管理の業務に従事することにより、会社は給料を払います。この結果、オーナーの収入は適用される税率の低い配偶者などに分散されることとなり、所得税・住民税・事業税を軽減することができます。(会社から給与の支払いを受けることとなり、給与所得控除が適用されます)。
この場合、管理料収入(転貸しによる賃貸収入 ― オーナーへ支払う賃借料)は、賃貸収入の15%程度までが税務上認められるとされています。

(3)会社が不動産を保有する方法
土地はオーナーの所有そのままで※、建物を会社の所有とし、会社はオーナーに地代を支払います。オーナー自身、その配偶者などがその会社に雇用され、賃貸管理の業務に従事することにより、会社は給料を払います。この結果、オーナーの収入は適用される税率の低い配偶者などに分散されることとなり、所得税・住民税・事業税を軽減することができます。(会社から給与の支払いを受けることとなり、給与所得控除が適用されます)。

多くの所得を法人に移転できますが、建物の会社への移転に伴う登録免許税、不動産取得税などのコスト、譲渡所得税などの負担、会社が建物の取得資金を借入れによりまかなう場合の金利負担などを検討する必要があります。
これらのコスト負担を考えれば、収益性の高い物件のみを会社へ移すのがよいでしょう。

※なお、古くから所有し含み益を抱えている土地については、会社への移転時に多額 の譲渡所得税が課せられ、オーナーにとっては大きな資金負担となることがあります。

また、土地をオーナーの個人所有、建物を会社所有とする場合には、借地権について権利金の認定課税の問題が生じるため、税務署に対して「土地の無償返還に関する届出書」を提出しておかなければなりません。