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2011年10月

2011年10月 2日 (日)

最高裁、改正税法の遡及適用は合憲

土地等に係る譲渡損失を他の所得と損益通算を廃止するという2004年度税制改正は同年4月1日から施行され、同年1月1日以後の譲渡からと遡及適用されました。最高裁は9月22日、土地等に係る損益通算の廃止が施行日前の土地取引にも遡及適用できるか否かが争われた事件の上告審で、原審通り納税者の主張を退け、遡及適用は憲法84条(租税法律主義)に違反せず合憲との判断を示しました。

この事件は、納税者が、改正法が施行された2004年4月1日前の同年1月30日に土地の譲渡を行ったため同年分の長期譲渡所得の金額の計算上損失が生じることから、その譲渡損失を他の所得と損益通算すると還付税金が生じるため更正の請求をしましたが、税務署は、損益通算を認めず、更正の請求をすべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、税務署の通知処分は違法であるとしてその取消しを求めたというものです。納税者は、改正法の施行日より前にされた土地等の譲渡についても損益通算を認めないこととしたのは納税者に不利益な遡及立法であって、憲法84条に違反すると主張、この訴えに対して、原審の東京高裁(2008年12月4日)は、改正法の遡及適用は憲法84条に違反せず、税務署の通知処分も適法として請求を斥けたため納税者が上告していたました。

最高裁は、「暦年当初からの適用を定めた本件改正附則が憲法84条の趣旨に反するか否かについては…諸般の事情を総合的に勘案した上で…適用による課税関係における法的安定性への影響が納税者の租税法規上の地位に対する合理的な制約として容認されるかどうかという観点から判断するのが相当」とした上で、諸般の事情については、駆け込み売却を防止する目的があり「具体的な公益上の要請に基づくものであった」と指摘しました。納税者の地位の合理的な制約については、「政策的、技術的な判断を踏まえた裁量的判断に基づき設けられた性格を有する」から「合理的な制約として容認されるべきもの」と判断しました。また、「遡及適用期間も3ヵ月間に限られており、納税者においては、これによって損益通算による租税負担の軽減に係る期待に沿った結果を得られなくなるものの、それ以上に納税義務を加重されるなどの不利益を受けるものではない」としました。

最高裁判決 全文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110922144731.pdf